問題解決と意思決定についての基本的な解説です。

■ 問題とは/問題解決とは...

問題とは何でしょうか。問題を定義してくださいと改めていわれると、とまどう方が多いのではないでしょうか。

1.人/立場に依存する

普通「困ったこと」があるとそれを問題であるといいますが、同じ環境にあっても、ある人にとって困った事柄であっても、別の人にはまったく困ったことではないということもあります。そうなると、問題/困ったこととは、事柄を認識する人/立場によって違いが出てくることになります。

2.受け止め方に依存する

また、複数の人が同じように問題だということに同意してくれたとしても、どのような問題であるかについて、見解の相違が出ることもあります。あるクレームが出されていることについて、それをクレームを受けた人の問題だという人もいれば、製品の問題だという人もいますし、両方だという人もいます。
こうなると、何が問題か、どのような問題なのか、それ自体が問題だということになってしまいます。こうなると、ごちゃごちゃとするだけで、少しも前に進みません。笑い話のように聞こえるかもしれませんが、ある国で劇の上演のお手伝いをすることになって、先方の文化庁が用意してくれた劇場関係者と打ち合わせているときに私自身がこのようなことに遭遇しました。日本の国会でも会社でも、問題解決のセミナーに参加した経験があっても少しも改善進歩がなされず、このようなことが、頻繁に起こっています。

問題の定義

問題とは、「こうあるべきだと考える状態」と「実際の状態」の間に「ギャップ/差」がある状態であると、広くいわれています。この定義を使うと、複数の人が問題解決をしようとすると次のような点で一致をしていなくてはならないということになります。

  1. 「こうあるべきだと考える状態」とは、どのような状態なのか
  2. 「現実の状態」とは、どのような状態なのか
  3. 「ギャップ/差」とは、具体的にどの程度のものなのか

 

問題解決とは...実は意思決定と密接不可分である...

上記の定義で問題についての認識がはっきりしたとしても、ことはそれで終わりません。たとえていえば、どこをスタートラインにするかがやっと決まっただけの状態です。これから解決に向かって走らなくてはなりません。上記の定義の言葉を使えば、「ギャップ/差」が生まれた本当の原因を発見しなくてはなりません。
では、原因がわかればそれでいいのでしょうか?原因がわかったからといって、すっきりしたわけではありません。(実はここで満足してしまう人もいるのですが)「こうあるべきだと考える状態」に再度戻ってすっきりしたというのが普通でしょう。ところが、必ずしも元に戻れるわけではありません。元に近づけるのが精一杯ということもあります。一方で、元の状態よりもよくなってしまうことだってあります。どこで、満足するか、これも問題とはで考えたようにいつもはっきりしているわけではないのです。
ここまでを整理すると、
「問題解決とは、問題についての認識をはっきりさせ、こうあるべきだという状態に向かってスッキリすることである」ということになります。

ところで、あるべき状態に戻るためには何らかの手だてが必要です。手だてと一言で言いましたが、これもそう簡単ではありません。簡単にわかるものもありますが、どうしたらいいか、迷うこともあります。迷ってしまい、どうするか、どんな行動をとるか決めること、これは意思決定です。
問題解決とは、意思決定と密接不可分に結びついていて、実生活の中では両方がなくてはならないのです。こんな当たり前のことではありますが、産業界の本当にとっても難しい問題については、原因を探るということ自体が、お金も時間もかかる仕事ですので、ここでいう「問題とは」の部分だけをまず取り上げるというようなことが行われました。その結果、弊害としては、問題の原因究明と意思決定とのきちんとした結びつきが忘れられるようなことが起こってしまったのです。

■ 意思決定とは...

次は意思決定です。意思決定についても定義してくださいと改めていわれると、とまどう方が多いのではないでしょうか。どんな行動をとるかを決めることを意思決定であると説明しましたが、もう少し考えてみることにします。

1.定義

欧米では、意思決定を次のように定義するのが一般的です。すなわち「あるひとつの選択肢に絞り込むこと」であるというものです。この定義には前提として、選択肢があること、それも複数あることということがあります。もう少し分かりやすくいえば、どれにしようか迷っている状態の人が、よしこれにしようと決めることを意思決定であるとしているのです。

2.決定には、案が必要

ところが、現実には、どうしていいか、案そのものがない、具体的にならない状態のこともよくあります。このような状態でも、どうしようかはっきりさせたいことに変りありません。すると意思決定には、どんな案にするかの発想という仕事もありそうです

3.決定には、前提となる目標の合意が必要

どの選択肢にするか、いろいろ迷っている状態、つまり意思決定をしようとしているとして、では、その決定は何のためにするのか、そもそもそんなことをする必要があるのかという前提が違っていては、意思決定は進みません。新しい車を買うことに家族全員が合意したとしても、ご主人と奥さんと娘さんがそれぞれに全く違う姿を思い描いていたとしたら、議論はまとまらないでしょう。意思決定には、前提としての基準をはっきりさせるという仕事もありそうです。

4.決定には、納得が必要

ようやく選択肢ひとつに絞り込んだとしても、それで終わらない場合があります。どうもこの案は気にくわない。合理的な最適案だということはわかるが、気持ちが納得しないといったことがあるかもしれません。やるのが心配で、これだと決めるのに躊躇するところがあるということもあるでしょう。このように合理的な決定と納得ということは別なのです。また、将来リスクをどうみるかということも意思決定には含まれるのです。

5.意思決定は、人生観の反映である

大げさだと思われるかもしれませんが、意思決定とは、選択肢を絞り込んでいくための合理的/論理的な思考、目標すなわち価値観の明確化、将来に備え、気持ちの納得も得るという、多くの事柄を総合的に含んだ大変エネルギッシュな活動なのです。これまでの決定の蓄積として私たちの現在があり、現在の決定に基づいて、将来が形作られる。このように考えると、意思決定をしっかりするようにしなくてはいけないという気持ちになってくれるでしょうか?もっともあまり考えすぎて、お昼を何にするか決める前に昼休みの時間が終わってしまうようなことになっては困りますが。

■ 問題解決力/意思決定力を磨くには

問題解決/意思決定には、ずいぶんいろいろなことがあるので、問題解決力/意思決定力を磨くのもそんなに簡単にできることではありません。しかし、ともかくもこれまで問題解決と意思決定をしてくたわけですから、全く新しいことでもありません。欲張らず、あきらめず、いろいろな機会をとらえて磨き上げていけばいいのではないでしょうか。
その際注意しなくてはならないのは次のようなことでしょう。

  1. いろいろな手法がありそれぞれいいところがあるので、どれも謙虚に先ずは受け止める/勉強してみる。
  2. ある手法を徹底して身に付ける。しかし、それだけでよしとしない。
  3. 自分にふさわしいものを自分なりに整理する。自分がいちばん使いやすいように工夫して、最後は自分流にしてしまう。

なお、問題解決と意思決定にはいろいろな要素があるのですが、以下を忘れることはできません。

  1. 論理的思考力
  2. 洞察力
  3. 情報把握力
  4. 戦略形成力
  5. 心理分析力
  6. 哲学

   

解説

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